どうして、僕はこんなところを歩いているのだろう
答えは、もはや敢えて問い直すまでもない
僕は死に場所を探しているのだ
ここなら、誰も僕を見つけることなどないだろう
誰もが、恐れ忌避するという森の奧深く
なのに、どうして人がこんなところに
あら、そこの迷い人さん
どうしてこんな所に
いらっしゃったのですか
帰り道を教えて差し上げますから
どうぞついてきて下さい
そうして足を踏み入れたのは小さな屋敷
いたいけな少女をあの場所に置き去りには出來ない
傍で死ぬわけにもいかないだろう
暖かい飲み物をお持ちしますと
彼女は告げ屋敷の奧へと
ふと聞こえた物音に
興味をそそられた僕は
こっそりと傍のドアを開いた
そうして僕の目に飛び込んだのは
毒を湛たたえた大釜
蛇のような生き物
ひとりでに動く魔法陣に
呪わしげな書物
まるでこれでは魔女の館じゃないか
気づくのが遅かったな
お前は踏み込んだのだ
邪悪な魔女の住処へと
愚かにものこのこと
気づけば背後には少女
暗い光を纏い
こちらに向けるその笑みは
恐るべき魔女のもの
その目は獲物を
値踏みしているかの様
僕は逃げようとしたものの
體が動かない
あー、足掻くだけ無駄だぞ
森に足を踏み入れる者の末路など
最初から決まりきっているのだから
慘めな野曬し髑髏
或いは骨すら殘されず
何れにせよ、お前ごときでは
逃げられはしないのさ
それでは、晩餐を始めるとしようか
そぅら、食臺にその身を獻上しろ
宴は盛大に行われるがいい
久方ぶりに食いでがある食材だ
爪を剝いでやろうか
血を抜きさってやろうか
舌をもいでやろうか
目をくりぬいてやろうか
自分の愚かさを呪えよ
いざ踴れ 踴り狂え
魔女は野蠻に嗤わらい猛たける
この胸中には愚かな自分をただ責める聲
いざ歌え 歌い狂え
魔女は野蠻に嗤い猛る
まだ死にたくない
などと情けない聲が漏れ出でる
光の渦が何かの魔法を解き放つ
その手にかかって
僕は最期のときを迎えるのか
僕は目を閉じて
眼前の光景から眼を逸らす
せめて最期はどうか苦しまずに
と願いながら
と、こういうことがあるかも知れないので
もう、森には近寄るな
でないと 次はほんとに喰われちまうぜ
マッドパーティー - 凋葉棕
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