巡る季節の百歳千歳に恵む穂の、実(み)を結ぶ稲の花
雪解けの瀬、麗らかな春の月朧
川越え嫁ぐ花嫁は、裾をつまげて濡れぬよに
河鹿の鳴く畔の淵、雲流れて五月(さつき)晴れ
二人並んで田植え歌、顔をふと見合わせ頬染める
山は仰ぎ、雲は高く空は遙かに
遠雷轟く蟬時雨、茜に染まる西日暮れ暮れ
幼子を背負う祭後、家路へと星満ちて
流れ星一つ、幸せ願う
稲の葉そよぐ白銀(しらかね)のうねり馳せる
夏の日の盛り、束(つか)の間にそっと咲かす穂の、慎ましき稲の花
鰯雲秋の空、稲田覆う黃金(こがね)
家族総出の稲(いね)刈りは 息子等も負けじと精を出す
山は仰ぎ、雲は高く空は遙かに
枯野色失せ去り、はらはら粉雪の舞う、風のまにまに
日々偲ぶ老いの囲爐裡端仲睦まじく充ちて
雪深く山は靜寂に眠る
冬越えた種が再び芽吹く
巡る季節の百歳千歳に恵む穂の、慎ましき稲の花
精霊のほこら - 崎元仁
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