いつでも荒れた 手をしていたね
エプロンの端 まさぐりながら
首をかしげて 笑うのが
朝のお前の 癖だった
送って くれる 人もなく
毎朝 勤めに 行く僕を
お前は どこで見てるんだ
僕の聲さえ屆かない
空へ昇って いったきり
お前は帰って來ないのか
お前は帰って來ないのか
お前の髪の匂いがするよ
ひとつの櫛を ふたりで使う
これが貧しい僕達の
いつも してきた 癖だった
曇った鏡 ふきながら
涙こぼして いる僕を
忘れて どこへ行ったんだ
僕の 眼にさえ 屆かない
雲のかなたへ 行ったきり
お前は帰って來ないのか
お前は帰って來ないのか
昨夜は 雨が降りつづいたよ
巣を失った 小鳥のように
あてもないのに 外へ出る
雨の降る日の 癖だった
黙って 肩を しめらせて
送り どころの ない愛を
ひとりで夜に 捨てるんだ
あつい 想いも 屆かない
とおいところへ 行ったきり
お前は帰って來ないのか
お前は帰って來ないのか
妻を戀うる唄 - Frank Nagai
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